2007年08月22日
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜第05話
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜
第05話「ふたりのてのひら」
その後、5人は、皆で倒れた机の後片付けを始めた。一度出て行った担任の教師も、事の報告に戻っただけだったようで、すぐに戻ってくると、みんなを手伝ってくれた。
後片付けが終わった頃、それぞれの両親が、図らずも、同時に迎えにきた。
皆、笑顔で自分の父や母の手を握る。いつもと少し違う子供たちの様子に、親たちは、互いに顔を見合わせた。
教室を出て、校門の前に辿り着くと、すももと八重野は、左へ。白鳥たちは、右へと歩みを進めた。
「あら? 秋姫さんたちは、あちらの方かしら?」
「うん白鳥さんたちは、向こうなの?」
そして、互いに頷きあう。どうやら、三人とは、ここでお別れになるようだ。
「それじゃあ、バイバイ!」
「さよなら」
「ごめんあそばせ」
「バイなら〜☆」
「バイちゃ♪」
それぞれが、個性的な別れの言葉を告げると、すももは、カリンの手を離し、八重野の元へと駆け寄った。
そして、八重野を覗き込むようにして話しかけた。
「ねぇ、八重野さん」
「何? 秋姫さん」
「八重野さんの名前って、難しい漢字だよね。なんて読むのかな?」
そんなすももの言葉に、昨日の夜、クラス名簿を眺めていたすももの姿を思い出した。
――――――――――
「ねぇ、ユキちゃん。八重野さんの名前、どこにあるかな?」
「えっと……あ! きっと、これだね」
名簿の先頭を飾るのは『秋姫すもも』。そして、最後を飾るのが『八重野撫子』という名であった。
「???……ユキちゃん……八重野さんの名前、なんて読むのかな?」
『撫子』か……確かに、すももには、難しい漢字かもしれない。
「え? すもも、こんな簡単な漢字も読めないの? それは、八重野さんに、失礼だよ」
「えっ!? そうなの?……うわぁぁぁん……どうしよう……」
そんなボクの意地悪を、素直に受け止めるすももの泣き顔が可愛らしかった。
「すもも。大丈夫だよ。皆、始めは知らないこと。正直に、八重野さんに聞いてごらん。きっと、答えてくれるから」
「そうかな?」
「うん」
「嫌われたりしないかな?」
「うん。大丈夫さ!」
――――――――――
すももは、ボクの言葉通り、素直に聞く道を選んだようだ。
すると、八重野は、少し嬉しそうに、微笑を浮かべながら答えた。
「私の名前? 私の名前は、なでしこ。八重野撫子だよ」
「……なでしこ……ちゃん……」
すももは、顎に指を添えて、少し考えると、
「あのね。八重野さん。八重野さんのこと……『ナコちゃん』って、呼んでもいいかな?」
八重野が、目を丸くする。もしかした、らそんなことを言われたのは、始めてなのかもしれない。
しかし、すぐに満面の笑みに変わると、
「秋姫さんの名前、確か、『すもも』でよかったよね?」
「うん! わたしの名前は、秋姫すもも!」
「それじゃあ、秋姫さん。私のこと、『ナコ』って、呼んでもいい。その代わり、私は、『すもも』って呼ぶ。それでいい?」
「うん! もちろんだよ!」
夕日が、地平線の向こうへと消えていく。夕日の温かな導きに変わって、月と星の静かな瞬きが、二人の歩む道を照らし出す。
いつしか繋がれていた、二人の手と手。その小さな温もりは、いつしか、お互いの未来を助け合う、大きな手の平へと変わっていくのだろう。
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜
第05話「ふたりのてのひら」
その後、5人は、皆で倒れた机の後片付けを始めた。一度出て行った担任の教師も、事の報告に戻っただけだったようで、すぐに戻ってくると、みんなを手伝ってくれた。
後片付けが終わった頃、それぞれの両親が、図らずも、同時に迎えにきた。
皆、笑顔で自分の父や母の手を握る。いつもと少し違う子供たちの様子に、親たちは、互いに顔を見合わせた。
教室を出て、校門の前に辿り着くと、すももと八重野は、左へ。白鳥たちは、右へと歩みを進めた。
「あら? 秋姫さんたちは、あちらの方かしら?」
「うん白鳥さんたちは、向こうなの?」
そして、互いに頷きあう。どうやら、三人とは、ここでお別れになるようだ。
「それじゃあ、バイバイ!」
「さよなら」
「ごめんあそばせ」
「バイなら〜☆」
「バイちゃ♪」
それぞれが、個性的な別れの言葉を告げると、すももは、カリンの手を離し、八重野の元へと駆け寄った。
そして、八重野を覗き込むようにして話しかけた。
「ねぇ、八重野さん」
「何? 秋姫さん」
「八重野さんの名前って、難しい漢字だよね。なんて読むのかな?」
そんなすももの言葉に、昨日の夜、クラス名簿を眺めていたすももの姿を思い出した。
――――――――――
「ねぇ、ユキちゃん。八重野さんの名前、どこにあるかな?」
「えっと……あ! きっと、これだね」
名簿の先頭を飾るのは『秋姫すもも』。そして、最後を飾るのが『八重野撫子』という名であった。
「???……ユキちゃん……八重野さんの名前、なんて読むのかな?」
『撫子』か……確かに、すももには、難しい漢字かもしれない。
「え? すもも、こんな簡単な漢字も読めないの? それは、八重野さんに、失礼だよ」
「えっ!? そうなの?……うわぁぁぁん……どうしよう……」
そんなボクの意地悪を、素直に受け止めるすももの泣き顔が可愛らしかった。
「すもも。大丈夫だよ。皆、始めは知らないこと。正直に、八重野さんに聞いてごらん。きっと、答えてくれるから」
「そうかな?」
「うん」
「嫌われたりしないかな?」
「うん。大丈夫さ!」
――――――――――
すももは、ボクの言葉通り、素直に聞く道を選んだようだ。
すると、八重野は、少し嬉しそうに、微笑を浮かべながら答えた。
「私の名前? 私の名前は、なでしこ。八重野撫子だよ」
「……なでしこ……ちゃん……」
すももは、顎に指を添えて、少し考えると、
「あのね。八重野さん。八重野さんのこと……『ナコちゃん』って、呼んでもいいかな?」
八重野が、目を丸くする。もしかした、らそんなことを言われたのは、始めてなのかもしれない。
しかし、すぐに満面の笑みに変わると、
「秋姫さんの名前、確か、『すもも』でよかったよね?」
「うん! わたしの名前は、秋姫すもも!」
「それじゃあ、秋姫さん。私のこと、『ナコ』って、呼んでもいい。その代わり、私は、『すもも』って呼ぶ。それでいい?」
「うん! もちろんだよ!」
夕日が、地平線の向こうへと消えていく。夕日の温かな導きに変わって、月と星の静かな瞬きが、二人の歩む道を照らし出す。
いつしか繋がれていた、二人の手と手。その小さな温もりは、いつしか、お互いの未来を助け合う、大きな手の平へと変わっていくのだろう。
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目次
ななついろ★ドロップス 短編
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜
・「プロローグ」
・第01回「ずっといっしょ……」
・第02回「そのであいは、ゆうきのはじまり」
・第03回「なでしこのことば」
・第04回「わらいごえは、そらのかなた」
・第05回「ふたりのてのひら」
・第06回「ボクがきえるひ」
・第07回「にびいろのしずく」
・第08回「せいしろうとぼく」
・第09回「さくらいろのほしぞらのしたで」
・「エピローグ」
・あとがき
冗談企画
〜「オー!ユッキー」〜
・「オー!ユッキー その3」
・「オー!ユッキー その2」
・「オー!ユッキー その1」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「ユキちゃんの一日」〜
・「ユキちゃんの一日」
・「ユキちゃんの一日 その2」
・「ユキちゃんの一日 その3」
・「ユキちゃんの一日 その4」
・「ユキちゃんの一日 その5」
・「ユキちゃんの一日 その6」
ななついろ★ドロップス 短編
〜第5.5話「キミにむけるほほえみ」〜
・はじめに
・第01回「はじまり」
・第02回「たいへんたいへん」
・第03回「すもものムチャ」
・第04回「ふたりといっぴき」
・第05回「ほしのはな」
・第06回「すもものなみだ」
・第07回「りべんじ」
・第08回「ここはどこ?」
・第09回「ほしぞらのしたで……」
・第10回「さかないの?」
・第11回「みんなのねがい」
・最終回「キミにむけるほほえみ」
・あとがき
