2007年07月01日
「ユキちゃんの一日 その5」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「ユキちゃんの一日 その5」〜
前回のあらすじ………………前回参照
――――――――――
「ユキちゃん。それじゃあ、よろしくね」
すももちゃんは、ユキ子ちゃんを差し出しながらいいました。
「え? よろしくって?」
「ユキ子ちゃんはね、ユキちゃんの妹なんだよ」
ユキちゃんさんの頬がピクリと動きました。『妹』という言葉に、萌えたようです。
「……そ……そぅなの?」
ユキちゃんさんは、少しどもりながら聞き返します。
「うん。そうだよ。それでね。わたしが、お姉ちゃんなの」
ユキちゃんさんの頬がピクピクリと動きました。どうやら、姉属性も持ち合わせていたようです。
「……ふぅん」
ユキちゃんさんは、怪しい微笑を噛み殺すのに必死です。
そのとき、下の階から、すももパパの奇声が轟きました。
「すももちゃ〜ん! お夕飯が出来ましたよ〜!」
「は〜い! 今、行きます!」
すももちゃんは、元気良くお返事をしました。
「それじゃあ、ユキちゃん。ちょっと、待っててね」
そういうと、すももちゃんは、ユキ子ちゃんの顔面を握り締めながら、連れて行ってしまいました。すももお姉ちゃんは、やや暴力的なようです。
しかし、ユキちゃんさんは、そんなすももちゃんに気付かなかったのか、うつむいたまま、一人でブツブツいっています。
「……すももお姉ちゃんに、妹のユキ子か……クッ…クックックッ……クァハハハハハ!!!!!」
その笑い声は、どこかの格ゲーで勝利したときのいおりんのようでした。
――――――――――
それから30分ほど経つと、部屋のドアが開き、すももちゃんが顔を出しました。ユキちゃんさんは、ぬいぐるみだからこそ可能なよちよち歩きで、すももちゃんに向かっていくと、抱きつきながら言いました。
「おかえりなさい。すももお姉ちゃん」
ユキちゃんさんは、愛らしい微笑みと甘えた声でいいました。
「10きゅん!!!」
満きゅんが出ました。すももちゃんの乙女心は、大いに萌えたようです。すももちゃんは、ユキちゃんさんをふんわりと抱き返し、頬ずりを始めました。
「お姉ちゃん。くすぐったいよ」
ユキちゃんさんが調子よく続けると、すももちゃんの抱きしめる力が、人知を超え始めました。
「おね゛えぢゃん……く、くるし……」
ユキちゃんさんの呼吸が、止まっていきます。残り、10……9……2……1……
「ふぅ……」
すももちゃんの力が緩みました。どうやら、すももちゃんの萌えメーターが満タンになったようです。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
すももちゃんの前で、萌を演じるのは、止めておいた方がよさそうです。
ふと、ユキちゃんさんは、パンの焼ける香ばしい匂いに気付きました。
「あれ? いい匂いだね。パンでも焼いたの?」
「パン?……ああ。これのこと?」
すももちゃんは、クロワッサンが二つ付いた、真っ黒な物体を置きました。
「??? 何? これ?…………アレ???」
もしかしなくても、真っ黒に日焼けしたユキ子ちゃんに見えます。
「すもも……もしかして、ユキ子ちゃんごと焼いたの?」
「うん。お夕食にね、角を食べてみたら、美味しかったの。焼いたら、体も美味しいかなと思ったんだけど……焦げちゃった」
すももちゃんは、テヘヘと舌を出ながら、かわいく微笑みました。ユキちゃんさんは、そんなすももちゃんの微笑みに戦慄を覚えました。
そんな困惑が顔に出ていたのか、すももちゃんが言いました。
「ユキちゃんは、食べたりしないから大丈夫だよ」
「ほ……ホントに?」
「うん。ホント、ホント」
すももちゃんは、どこからともなく取り出したナイフとフォークを両手に持ちながらいいました。まるで説得力がありません。
身の危険を感じたユキちゃんさんは、
「そっ! そうだ! 今日は用事があって、もう帰らなくちゃいけないんだった! ごめんね、すもも。それじゃあ!」
と、ユキちゃんさんは、魔法の本に乗って逃げ出そうとしました。しかし……
「……あれ?」
いつものように空を飛びません。足元をよく見ると、いつのまにか、マツクのチラシが敷かれたトレイの上でした。右手にチーズバーガー、左手にコーラが見えます。
「すもも。ボクは、芋? 投げっと? 庭サラダ?」
「う〜ん。芋のSかなぁ?」
よりにもよって、一番安価です。
「それじゃあ、いただきます」
すももちゃんは、迷わずナイフを振りかざしました―
――――――――――
「っていう夢をみたんだ。」
「ふーん」
すももちゃんは、少し考えると、こう言いました。
「ねぇ、ユキちゃん。夢って、その人の願望を見るものだっていうよね?」
「うん。そうだね。よく聞くね」
偉〜い心理学者の先生の言葉ですね。
「じゃあ、ユキちゃんは、わたしに食べられたいの?」
「うーん。そんなこと無いと思うけど……」
「そっか……でもね。わたしは、ユキちゃん、食べてみたいな」
すももちゃんの言葉に、ユキちゃんさんの動きが一瞬止まりました。
「すもも!?……えっと……冗談……だよね?」
「うん。冗談だよ」
「そうだよね? 冗談だよね?」
「うん。もちろん、冗談だよ!」
「ハハハハハハ」(ユキちゃんさん)
「ハハハハハハ」(すももちゃん)
「ハハハハハハハハハハハハ」(二人)
星空に、二人の乾いた笑い声が響き渡ったのでした。
〜「ユキちゃんの一日 その5」〜
前回のあらすじ………………前回参照
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「ユキちゃん。それじゃあ、よろしくね」
すももちゃんは、ユキ子ちゃんを差し出しながらいいました。
「え? よろしくって?」
「ユキ子ちゃんはね、ユキちゃんの妹なんだよ」
ユキちゃんさんの頬がピクリと動きました。『妹』という言葉に、萌えたようです。
「……そ……そぅなの?」
ユキちゃんさんは、少しどもりながら聞き返します。
「うん。そうだよ。それでね。わたしが、お姉ちゃんなの」
ユキちゃんさんの頬がピクピクリと動きました。どうやら、姉属性も持ち合わせていたようです。
「……ふぅん」
ユキちゃんさんは、怪しい微笑を噛み殺すのに必死です。
そのとき、下の階から、すももパパの奇声が轟きました。
「すももちゃ〜ん! お夕飯が出来ましたよ〜!」
「は〜い! 今、行きます!」
すももちゃんは、元気良くお返事をしました。
「それじゃあ、ユキちゃん。ちょっと、待っててね」
そういうと、すももちゃんは、ユキ子ちゃんの顔面を握り締めながら、連れて行ってしまいました。すももお姉ちゃんは、やや暴力的なようです。
しかし、ユキちゃんさんは、そんなすももちゃんに気付かなかったのか、うつむいたまま、一人でブツブツいっています。
「……すももお姉ちゃんに、妹のユキ子か……クッ…クックックッ……クァハハハハハ!!!!!」
その笑い声は、どこかの格ゲーで勝利したときのいおりんのようでした。
――――――――――
それから30分ほど経つと、部屋のドアが開き、すももちゃんが顔を出しました。ユキちゃんさんは、ぬいぐるみだからこそ可能なよちよち歩きで、すももちゃんに向かっていくと、抱きつきながら言いました。
「おかえりなさい。すももお姉ちゃん」
ユキちゃんさんは、愛らしい微笑みと甘えた声でいいました。
「10きゅん!!!」
満きゅんが出ました。すももちゃんの乙女心は、大いに萌えたようです。すももちゃんは、ユキちゃんさんをふんわりと抱き返し、頬ずりを始めました。
「お姉ちゃん。くすぐったいよ」
ユキちゃんさんが調子よく続けると、すももちゃんの抱きしめる力が、人知を超え始めました。
「おね゛えぢゃん……く、くるし……」
ユキちゃんさんの呼吸が、止まっていきます。残り、10……9……2……1……
「ふぅ……」
すももちゃんの力が緩みました。どうやら、すももちゃんの萌えメーターが満タンになったようです。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
すももちゃんの前で、萌を演じるのは、止めておいた方がよさそうです。
ふと、ユキちゃんさんは、パンの焼ける香ばしい匂いに気付きました。
「あれ? いい匂いだね。パンでも焼いたの?」
「パン?……ああ。これのこと?」
すももちゃんは、クロワッサンが二つ付いた、真っ黒な物体を置きました。
「??? 何? これ?…………アレ???」
もしかしなくても、真っ黒に日焼けしたユキ子ちゃんに見えます。
「すもも……もしかして、ユキ子ちゃんごと焼いたの?」
「うん。お夕食にね、角を食べてみたら、美味しかったの。焼いたら、体も美味しいかなと思ったんだけど……焦げちゃった」
すももちゃんは、テヘヘと舌を出ながら、かわいく微笑みました。ユキちゃんさんは、そんなすももちゃんの微笑みに戦慄を覚えました。
そんな困惑が顔に出ていたのか、すももちゃんが言いました。
「ユキちゃんは、食べたりしないから大丈夫だよ」
「ほ……ホントに?」
「うん。ホント、ホント」
すももちゃんは、どこからともなく取り出したナイフとフォークを両手に持ちながらいいました。まるで説得力がありません。
身の危険を感じたユキちゃんさんは、
「そっ! そうだ! 今日は用事があって、もう帰らなくちゃいけないんだった! ごめんね、すもも。それじゃあ!」
と、ユキちゃんさんは、魔法の本に乗って逃げ出そうとしました。しかし……
「……あれ?」
いつものように空を飛びません。足元をよく見ると、いつのまにか、マツクのチラシが敷かれたトレイの上でした。右手にチーズバーガー、左手にコーラが見えます。
「すもも。ボクは、芋? 投げっと? 庭サラダ?」
「う〜ん。芋のSかなぁ?」
よりにもよって、一番安価です。
「それじゃあ、いただきます」
すももちゃんは、迷わずナイフを振りかざしました―
――――――――――
「っていう夢をみたんだ。」
「ふーん」
すももちゃんは、少し考えると、こう言いました。
「ねぇ、ユキちゃん。夢って、その人の願望を見るものだっていうよね?」
「うん。そうだね。よく聞くね」
偉〜い心理学者の先生の言葉ですね。
「じゃあ、ユキちゃんは、わたしに食べられたいの?」
「うーん。そんなこと無いと思うけど……」
「そっか……でもね。わたしは、ユキちゃん、食べてみたいな」
すももちゃんの言葉に、ユキちゃんさんの動きが一瞬止まりました。
「すもも!?……えっと……冗談……だよね?」
「うん。冗談だよ」
「そうだよね? 冗談だよね?」
「うん。もちろん、冗談だよ!」
「ハハハハハハ」(ユキちゃんさん)
「ハハハハハハ」(すももちゃん)
「ハハハハハハハハハハハハ」(二人)
星空に、二人の乾いた笑い声が響き渡ったのでした。
Fin
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目次
ななついろ★ドロップス 短編
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜
・「プロローグ」
・第01回「ずっといっしょ……」
・第02回「そのであいは、ゆうきのはじまり」
・第03回「なでしこのことば」
・第04回「わらいごえは、そらのかなた」
・第05回「ふたりのてのひら」
・第06回「ボクがきえるひ」
・第07回「にびいろのしずく」
・第08回「せいしろうとぼく」
・第09回「さくらいろのほしぞらのしたで」
・「エピローグ」
・あとがき
冗談企画
〜「オー!ユッキー」〜
・「オー!ユッキー その3」
・「オー!ユッキー その2」
・「オー!ユッキー その1」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「ユキちゃんの一日」〜
・「ユキちゃんの一日」
・「ユキちゃんの一日 その2」
・「ユキちゃんの一日 その3」
・「ユキちゃんの一日 その4」
・「ユキちゃんの一日 その5」
・「ユキちゃんの一日 その6」
ななついろ★ドロップス 短編
〜第5.5話「キミにむけるほほえみ」〜
・はじめに
・第01回「はじまり」
・第02回「たいへんたいへん」
・第03回「すもものムチャ」
・第04回「ふたりといっぴき」
・第05回「ほしのはな」
・第06回「すもものなみだ」
・第07回「りべんじ」
・第08回「ここはどこ?」
・第09回「ほしぞらのしたで……」
・第10回「さかないの?」
・第11回「みんなのねがい」
・最終回「キミにむけるほほえみ」
・あとがき
