2007年06月16日
「ユキちゃんの一日 その3」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「ユキちゃんの一日 その3」〜
ユキちゃんさんは、机の上に新聞紙を敷いているようです。何かするのでしょうか? 1枚1枚、せっせと広げていきます。
突然、ユキちゃんさんの動きが止まりました。気になる記事があったようです。真剣に見入っています。記事の見出しは……
『極悪生物教師、横領の疑いで逮捕』
なんだか見たことのある顔が、白く輝く歯を光らせながら1面を飾っています。ユキちゃんさんは、しばらく記事を眺めていましたが、やがて新聞を裏返しました。どうやら、見なかったことにするようです。
「ふぅ」
ユキちゃんさんは、大きな溜め息を吐きながら、額の汗を拭うと、新聞を敷く作業に戻りました。
一通り机の上が覆われると、窓から風が吹き込んできました。新聞がパタパタと音を立てています。飛ばされるほど強い風ではなかったものの、それも時間の問題でしょう。
「…………うん!」
ユキちゃんさんは、何か思いついたのか、ムーンウォークで前進しながら台所に向かいました。
――――――――――
台所に着くと、ユキちゃんさんは、流し台の下の引き戸を開けました。中には、ユキちゃんさんと同じくらいの大きさの壺があります。どうやら、漬物を漬けてある壺のようです。壺の上には、石が載っています。漬物石にしては、やや小振りです。これなら、ユキちゃんさんでも運ぶことが出来そうです。
ユキちゃんさんは、漬物石に手を伸ばすと、それを持ち上げます。そのまま部屋に戻ろうとしたユキちゃんさんでしたが、思ったより重かったのか、顔を真っ赤に染めています。その表情は、空を飛ぼうと頑張る、ヨダ絵のカナちゃんのようです。
ユキちゃんさんは、石を下ろそうと、少し前方に傾けました。すると、ニュートンさんの法則に従って、石が落下し始めます。ユキちゃんさんは、落下点から逃れようと、ムーンウォークで後ずさろうとしました。しかし、ユキちゃんさんは、またしても前進してしまいました。ユキちゃんさんは、自ら、石の落下点に向かっていってしまったのです。
ぁ○>×っДヰ#ヾЬゑヲ∀
石の下敷きになってしまった、ユキちゃんさんが、意味不明な叫び声を上げました。運悪く、股間に落下したようです。石をどかそうと、ユキちゃんさんは、右に左にもがきます。
どKЬ$AдゐжK☆マ<Π?晦Ξ☆¥=N!!!!!!
運悪く、下腹部に向かって押し込んでしまったようです。さらにメリ込ませてしまったユキちゃんさんは、気絶寸前です。しかし、ユキちゃんさんは、あることに気が付きました。そうです。今のユキちゃんさんは、ぬいぐるみなのです。金色の宝物もなければ、立派な松茸も持ち合わせていません。ユキちゃんさんは、暴れるのを止めると、イソイソと漬物石から脱出しました。
――――――――――
ユキちゃんさんは、漬物石を引きずりながら部屋に戻ってきました。机の上に持ち上げると、端に置きます。これで、風に飛ばされる心配はないでしょう。ユキちゃんさんは、一度、机を降りると、四角い箱を持って戻ってきました。どうやら、今日は、ガソプラを作るようです。どうやら、100死期のようです。かの鍬吐露大尉が、刻の涙を見た黄金に輝く人型兵器です。中々、渋いチョイスですね。
ユキちゃんさんは、不適な笑みを浮かべつつ、箱の中身を並べていきます。並べ終わると、今度は、ニッパーを両手に持ち、一つ一つのパーツを器用に切り取っていきます。不適に微笑むその姿は、時計塔の鋏男を思い起こさせます。
ほんの数分で全てのパーツを切り終えたユキちゃんさんは、今度は組み立てに入ります。接着剤を紙に出し、ヘラを使って、丁寧に接合部に塗っていきます。まず、右腕が出来上がりました。ユキちゃんさんは、出来上がった右腕を、繁々と見つめています。すると、何を思ったか、その右腕を、自分の腕に装着しました。そして、腕を突き出しながら叫びました。
「衝撃の……ファーストブリッド!!!」
…………ユキちゃんさんは、何事も無かったかのように右腕をはずすと、組み立て作業に戻りました。
――――――――――
作業も中盤に差し掛かった頃、ペシペシとユキちゃんさんの頭を叩くモノが現れました。ユキちゃんさんは、集中しているのか、それを手で掃うと、そのまま作業を続けます。しかし……
ベシベシベシベシ!
叩く速さが、音速に近づいていきます。さすがに、ユキちゃんさんも振り向かざるをえません。
「っ!!!」
ユキちゃんさんは、驚きの表情を見せると、一瞬にして1メートルほど飛びのきました。そうです。今日も、『G』が現れたのです。しかし、ユキちゃんさんは、余裕の表情を浮かべ始めました。
「ふふふふふ……今日は、最終兵器があるのさ!」
そういうと、ユキちゃんさんは、どこからともなく、8分の1ちせフィギュアを取り出しました。
「違う! これじゃない!!!」
最終兵器違いだったようです。きっと、混乱しているのでしょう。
気を取り直したユキちゃんさん。今度は、スプレーのようなものを取り出しました。なるほど。最終兵器とは、殺虫剤だったようです。
「うりゃ〜〜〜!!!」
ユキちゃんさんは、『G』に向かって、勢いよく噴射します。
プシュー!
スプレーの中身が、『G』に降り注ぎます。しかし、降り注いだスプレーの中身は、何故か金色に光り輝いています。
「???…………っ! しまった、これ、100死期の仕上げに使おうと思ってた、塗装スプレーだ!」
そのとき、窓から射し込む一筋の光が、ソイツを照らし始めました。すると、先ほど浴びせた金色の塗料が輝きを持ち始めました。満遍なく体全体を覆った金色は、余すとこなく『G』の体を輝かせます。こ……これは……
ハイパーモード
ギアナ高地で修行したわけでもないのに、明鏡止水を極めるとは……さすが、『G』の名を持つものです。
ソイツは、大きく翼を開くと、触角を前方に傾けました。触覚が光を帯び、剣(ツルギ)のような形に収束していきます。そして、『G』が動き出しました。ユキちゃんさんに向かって、一直線に突進してきます。ユキちゃんさんは、愛と勇気と哀しみのオーラに圧倒され、全く動くことが出来ません。触角の光が、ユキちゃんさんを貫きました。
「ぐはぁ……」
そして、ユキちゃんさんは、今回も意識を失うのでした。
――――――――――
陽が沈み、夜が訪れました。冷たい夜風が、眠るユキちゃんさんを撫でていきます。ユキちゃんさんは、少し身震いをすると、ゆっくり目を開きました。
「……あれ? なんともない?」
どうやら、ユキちゃんさんの体には、特に影響がなかったようです。しかし、足元を見たユキちゃんさんの顔が、驚愕の色に染まりました。
「カメラが……現像してないカメラが……」
ユキちゃんさんの足元に、真っ二つに分かれた小型カメラが見えます。こんなもの、どこに隠し持っていたのでしょう?
「すももの……すももの、あ〜んな写真や、こ〜んな写真がぁ……」
……ユキちゃんさん。盗撮は、犯罪ですよ?
「そうだ! メモリー…………ふわぁぁぁぁぁぁん……」
なんと、厚さ1.2ミリの超小型メモリーが、真っ二つにスライスされています。神業としか言いようがありません。こうして、ユキちゃんさんの犯罪は、未遂に終わったのでした。
〜「ユキちゃんの一日 その3」〜
ユキちゃんさんは、机の上に新聞紙を敷いているようです。何かするのでしょうか? 1枚1枚、せっせと広げていきます。
突然、ユキちゃんさんの動きが止まりました。気になる記事があったようです。真剣に見入っています。記事の見出しは……
『極悪生物教師、横領の疑いで逮捕』
なんだか見たことのある顔が、白く輝く歯を光らせながら1面を飾っています。ユキちゃんさんは、しばらく記事を眺めていましたが、やがて新聞を裏返しました。どうやら、見なかったことにするようです。
「ふぅ」
ユキちゃんさんは、大きな溜め息を吐きながら、額の汗を拭うと、新聞を敷く作業に戻りました。
一通り机の上が覆われると、窓から風が吹き込んできました。新聞がパタパタと音を立てています。飛ばされるほど強い風ではなかったものの、それも時間の問題でしょう。
「…………うん!」
ユキちゃんさんは、何か思いついたのか、ムーンウォークで前進しながら台所に向かいました。
――――――――――
台所に着くと、ユキちゃんさんは、流し台の下の引き戸を開けました。中には、ユキちゃんさんと同じくらいの大きさの壺があります。どうやら、漬物を漬けてある壺のようです。壺の上には、石が載っています。漬物石にしては、やや小振りです。これなら、ユキちゃんさんでも運ぶことが出来そうです。
ユキちゃんさんは、漬物石に手を伸ばすと、それを持ち上げます。そのまま部屋に戻ろうとしたユキちゃんさんでしたが、思ったより重かったのか、顔を真っ赤に染めています。その表情は、空を飛ぼうと頑張る、ヨダ絵のカナちゃんのようです。
ユキちゃんさんは、石を下ろそうと、少し前方に傾けました。すると、ニュートンさんの法則に従って、石が落下し始めます。ユキちゃんさんは、落下点から逃れようと、ムーンウォークで後ずさろうとしました。しかし、ユキちゃんさんは、またしても前進してしまいました。ユキちゃんさんは、自ら、石の落下点に向かっていってしまったのです。
ぁ○>×っДヰ#ヾЬゑヲ∀
石の下敷きになってしまった、ユキちゃんさんが、意味不明な叫び声を上げました。運悪く、股間に落下したようです。石をどかそうと、ユキちゃんさんは、右に左にもがきます。
どKЬ$AдゐжK☆マ<Π?晦Ξ☆¥=N!!!!!!
運悪く、下腹部に向かって押し込んでしまったようです。さらにメリ込ませてしまったユキちゃんさんは、気絶寸前です。しかし、ユキちゃんさんは、あることに気が付きました。そうです。今のユキちゃんさんは、ぬいぐるみなのです。金色の宝物もなければ、立派な松茸も持ち合わせていません。ユキちゃんさんは、暴れるのを止めると、イソイソと漬物石から脱出しました。
――――――――――
ユキちゃんさんは、漬物石を引きずりながら部屋に戻ってきました。机の上に持ち上げると、端に置きます。これで、風に飛ばされる心配はないでしょう。ユキちゃんさんは、一度、机を降りると、四角い箱を持って戻ってきました。どうやら、今日は、ガソプラを作るようです。どうやら、100死期のようです。かの鍬吐露大尉が、刻の涙を見た黄金に輝く人型兵器です。中々、渋いチョイスですね。
ユキちゃんさんは、不適な笑みを浮かべつつ、箱の中身を並べていきます。並べ終わると、今度は、ニッパーを両手に持ち、一つ一つのパーツを器用に切り取っていきます。不適に微笑むその姿は、時計塔の鋏男を思い起こさせます。
ほんの数分で全てのパーツを切り終えたユキちゃんさんは、今度は組み立てに入ります。接着剤を紙に出し、ヘラを使って、丁寧に接合部に塗っていきます。まず、右腕が出来上がりました。ユキちゃんさんは、出来上がった右腕を、繁々と見つめています。すると、何を思ったか、その右腕を、自分の腕に装着しました。そして、腕を突き出しながら叫びました。
「衝撃の……ファーストブリッド!!!」
…………ユキちゃんさんは、何事も無かったかのように右腕をはずすと、組み立て作業に戻りました。
――――――――――
作業も中盤に差し掛かった頃、ペシペシとユキちゃんさんの頭を叩くモノが現れました。ユキちゃんさんは、集中しているのか、それを手で掃うと、そのまま作業を続けます。しかし……
ベシベシベシベシ!
叩く速さが、音速に近づいていきます。さすがに、ユキちゃんさんも振り向かざるをえません。
「っ!!!」
ユキちゃんさんは、驚きの表情を見せると、一瞬にして1メートルほど飛びのきました。そうです。今日も、『G』が現れたのです。しかし、ユキちゃんさんは、余裕の表情を浮かべ始めました。
「ふふふふふ……今日は、最終兵器があるのさ!」
そういうと、ユキちゃんさんは、どこからともなく、8分の1ちせフィギュアを取り出しました。
「違う! これじゃない!!!」
最終兵器違いだったようです。きっと、混乱しているのでしょう。
気を取り直したユキちゃんさん。今度は、スプレーのようなものを取り出しました。なるほど。最終兵器とは、殺虫剤だったようです。
「うりゃ〜〜〜!!!」
ユキちゃんさんは、『G』に向かって、勢いよく噴射します。
プシュー!
スプレーの中身が、『G』に降り注ぎます。しかし、降り注いだスプレーの中身は、何故か金色に光り輝いています。
「???…………っ! しまった、これ、100死期の仕上げに使おうと思ってた、塗装スプレーだ!」
そのとき、窓から射し込む一筋の光が、ソイツを照らし始めました。すると、先ほど浴びせた金色の塗料が輝きを持ち始めました。満遍なく体全体を覆った金色は、余すとこなく『G』の体を輝かせます。こ……これは……
ハイパーモード
ギアナ高地で修行したわけでもないのに、明鏡止水を極めるとは……さすが、『G』の名を持つものです。
ソイツは、大きく翼を開くと、触角を前方に傾けました。触覚が光を帯び、剣(ツルギ)のような形に収束していきます。そして、『G』が動き出しました。ユキちゃんさんに向かって、一直線に突進してきます。ユキちゃんさんは、愛と勇気と哀しみのオーラに圧倒され、全く動くことが出来ません。触角の光が、ユキちゃんさんを貫きました。
「ぐはぁ……」
そして、ユキちゃんさんは、今回も意識を失うのでした。
――――――――――
陽が沈み、夜が訪れました。冷たい夜風が、眠るユキちゃんさんを撫でていきます。ユキちゃんさんは、少し身震いをすると、ゆっくり目を開きました。
「……あれ? なんともない?」
どうやら、ユキちゃんさんの体には、特に影響がなかったようです。しかし、足元を見たユキちゃんさんの顔が、驚愕の色に染まりました。
「カメラが……現像してないカメラが……」
ユキちゃんさんの足元に、真っ二つに分かれた小型カメラが見えます。こんなもの、どこに隠し持っていたのでしょう?
「すももの……すももの、あ〜んな写真や、こ〜んな写真がぁ……」
……ユキちゃんさん。盗撮は、犯罪ですよ?
「そうだ! メモリー…………ふわぁぁぁぁぁぁん……」
なんと、厚さ1.2ミリの超小型メモリーが、真っ二つにスライスされています。神業としか言いようがありません。こうして、ユキちゃんさんの犯罪は、未遂に終わったのでした。
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目次
ななついろ★ドロップス 短編
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜
・「プロローグ」
・第01回「ずっといっしょ……」
・第02回「そのであいは、ゆうきのはじまり」
・第03回「なでしこのことば」
・第04回「わらいごえは、そらのかなた」
・第05回「ふたりのてのひら」
・第06回「ボクがきえるひ」
・第07回「にびいろのしずく」
・第08回「せいしろうとぼく」
・第09回「さくらいろのほしぞらのしたで」
・「エピローグ」
・あとがき
冗談企画
〜「オー!ユッキー」〜
・「オー!ユッキー その3」
・「オー!ユッキー その2」
・「オー!ユッキー その1」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「ユキちゃんの一日」〜
・「ユキちゃんの一日」
・「ユキちゃんの一日 その2」
・「ユキちゃんの一日 その3」
・「ユキちゃんの一日 その4」
・「ユキちゃんの一日 その5」
・「ユキちゃんの一日 その6」
ななついろ★ドロップス 短編
〜第5.5話「キミにむけるほほえみ」〜
・はじめに
・第01回「はじまり」
・第02回「たいへんたいへん」
・第03回「すもものムチャ」
・第04回「ふたりといっぴき」
・第05回「ほしのはな」
・第06回「すもものなみだ」
・第07回「りべんじ」
・第08回「ここはどこ?」
・第09回「ほしぞらのしたで……」
・第10回「さかないの?」
・第11回「みんなのねがい」
・最終回「キミにむけるほほえみ」
・あとがき
