2007年06月03日
最終回「キミにむけるほほえみ」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜第5.5話「キミにむけるほほえみ」〜
最終回 「キミにむけるほほえみ」
目蓋に降り注ぐ朝日の輝きに目を覚ます。カーテンの隙間から差し込む光と、星空に冷やされた大気の温度が眠りを妨げる。
隣を見ると、秋姫の寝顔が見える。疲れているのだろう。スヤスヤと安らかな寝息を立てている。
俺はというと……まだ、ぬいぐるみのままだ。今日が本当の満月ということだろうか?
振り向くと、如月先生の姿が見えた。
「石蕗君。早いですね。目が覚めてしまいましたか?」
如月先生が、小声で話しかけてくる。
「あ、はい。朝日が眩しくて……」
俺は、あくびをしたまま、寝ぼけ眼でそう答えた。
「如月先生……ボクとすももを運んでくれたんですか?」
「はい。そうですよ。高台の光が気になって行ってみたんですが……仲良さそうに寄り添って寝ていましたよ」
からかいモードに突入する如月先生の言葉を無視して、俺は質問を続けた。
「あの……ボクの体は……?」
「はい。眠っている間に、調べさせてもらいました。バッチリ回復したようです」
「そうですか」
ホッと溜め息を吐く。
「あの……如月先生。聞いてもいいですか?」
「はい。なんでしょう?」
「虹のしずくって、一体何なんですか? ボクたち、虹のしずくに包まれて、ここと同じような違う場所に連れて行かれたんです。そこにも、やっぱり星の種と虹のしずくがあって―」
俺は、そこであった全てを、如月先生に話した。
如月先生は、思い当たる節があるのか、何か考えているようだ。
「そうですね……虹のしずくは、願いを叶えようとするものに、試練を課すといわれています。今回の試練に当たるものが、その男の子と女の子を救うことだったのかもしれませんね」
と、如月先生は語る。
「あの……如月先生」
「はい。なんでしょう?」
「もしかして、知ってました?」
「はい。知ってましたよ?」
「それじゃあ、先に言ってくださいよ!」
「ははははは。いやー。まあ、なんとかなったんですから、いいじゃないですか」
そういって、俺の頭をぽふぽふと叩く。
糠に釘とわかっていても、怒ってしまうのは何故だろう?
「……ん」
少し騒ぎ過ぎたか、秋姫が目を覚ましてしまったようだ。
「ごめん。すもも。起こしちゃった?」
「っん……ユキ……ちゃん?」
「ああ。ごめんなさい。秋姫さん。ほら。ユキちゃんが騒ぐから……」
騒がせたのは、誰ですか。
「怒りを抑えるのも、大人の器量ですよ」
それは、時と場合によると思います。
「秋姫さん。調子は、どうですか?」
秋姫は、寝ぼけ眼で、
「ふぁい。ちょっと眠い……ふぁ……です」
秋姫は、かなり眠そうだ。
「そうですか。体の方は、疲れたり、だるかったりしませんか?」
「ふぁい。ちょっと眠い……ふぁ……です」
秋姫。答えが同じだよ……
「そうですか。それじゃあ、大丈夫ですね」
え!?
「如月先生! 本当に大丈夫なんですか!?」
「はい。秋姫さんは、健康そのものですよ?」
如月先生は、不思議そうな顔をする。今の秋姫の答えでもわかるようだ。
「秋姫さん。残念ですが、そろそろ帰らないと、学校に遅刻してしまいますよ」
「はひっ……秋姫すもも。お家に帰ります……むにゃ……」
そういうと、秋姫は、ドアに向かって歩いていき、
ゴン!
見事に頭をぶつけた。
「ユ゛ギぢゃん。い゛だい゛の……」
「……すもも。もう元の世界に戻ってきたから、壁抜けは出来ないよ……」
よしよしと、秋姫の頭を撫でながら、俺は秋姫の涙を拭いた。
しばらくして泣きやんだ秋姫は、ふらふらと家路に着いた。
「はぁ……すもも、ちゃんと家に帰れるかな?」
「まあ、大丈夫でしょう。電柱に3回くらいはぶつかるかもしれませんが……」
電柱に謝る秋姫の姿が容易に想像できた。
「ところで、如月先生。さっきの問診ですけど……実は、適当だったりしませんか?」
「そうともいいますね」
俺には、怒る気力もわいてこなかった。
――――――――――
その日は本当の満月だった。昨日、戻らなかった分、前倒しにはならないかと期待もしたのだが、そうはいかないらしい。俺はぬいぐるみのまま寮で過ごすことにした。
それにしても、昨日は疲れた。今日は、一日寝てしまおう。そう決めて目をつぶると、すぐに睡魔が襲ってきた―
目を開けると、夕日が射し込んでいた。熟睡していたのか、一度も起きることなく、丸一日眠ってしまったようだ。
眠りすぎで重い頭をかかえていると、
コンコン
ドアをノックする音が聞こえる。
「はい?」
(……って、返事しちゃダメじゃん!)
気付いたときには、遅かった。扉の外側から、聞き覚えのあるくぐもった声が聞こえる。
「あの……秋姫……です」
あ……秋姫?
「あ……えと……ごめん!……今、ちょっと出れなくて……その……」
「あ……いいの。そのままで……そのままでいいの。わたしの話、聞いてくれるかな?」
秋姫の不安げな……それでいてホッとしたような声が、ドア越しに伝わってくる。
「……うん。わかった」
俺は、顔を見せられない代わりに、しっかりと秋姫に返事をする。
秋姫は、大きく息を吸い込むと、ゆっくりと話し始めた。
「あのね。石蕗くん。わたしが階段から落ちた時、助けてくれてありがとう。それから、怪我をさせてしまって、ごめんなさい……」
「秋姫。俺、気にしてないから。ほら。結局、怪我もなんでもなかったしさ」
「でも……学校お休みしてたけど、本当に大丈夫?」
「ああ。うん。大丈夫。休んでたのは、別の理由で……怪我は、関係ないんだ」
「……うん」
少し曖昧な返事をしてしまったか、秋姫の返事に納得した様子はなかった。しかし、秋姫はそのまま話を続ける。
「それから……ね。もう一つ、謝らなくちゃいけないの」
ん? 階段のこと以外で? 秋姫、何かしたかな?
「ホントはね。昨日の内に……ううん。一昨日にでも、ここに来なくちゃいけなかったの。でも……わたし、怖くて……石蕗くんに嫌われたんじゃないかって……怖くて、ここに来ることが出来なかったの……でも……石蕗くん、そんなことで人を嫌いになるような人じゃないよね?……わたし、石蕗くんを信じることが出来なかったの……だから、ごめんなさい」
これ、昨日の夕方の……秋姫、まだ勘違いしてるのか……
「秋姫。やっぱり、謝る必要ないんじゃないかな? だって、ほら。秋姫は今、俺が『そんな人じゃない』って言ったよね?」
「……うん」
「それって、俺のことを信じてくれてるってことじゃないの? 秋姫は、俺を信じることが出来なかったんじゃない。ちょっと怖くて……それで、答えを見失っていただけさ」
「…石…蕗…くん……」
「秋姫。俺、明日から学校行くから。あっ……午前中は行けないと思うけど、午後から行くから。だから…明日は……えっと………一緒に部活に行こう!」
俺は、そのまま秋姫の言葉を待つ。
「……うん……石蕗くん。ありがとう」
秋姫が廊下を走る音が遠のいていく。
明日、秋姫に会ったら……俺は、秋姫に笑いかけることが出来るだろうか?
――――――――――
次の日の朝、俺は、二日ぶりに元の姿に戻ることが出来た。しかし、今日は、病院に寄ってから学校に行くことになっている。如月先生の話によると、
「体の方は、心配ありません。でも、お医者さんの診断書がないと、学校側に説明し辛くて……」
偽造出来なくもないんですが、手間がkkr…とかなんとかいっていた気もするが、気にしないことにする。
病院に着くと、如月先生が予約を入れておいてくれた所為か、すぐに診察が始まった。
その後もスムーズに進み、結局、2時間足らずで終わってしまった。
会計を済ませるため、待合室でボーっと時計を眺めていると、見たことのある顔が視界に飛び込んできた。気になって、そちらに目を向けると……虹のしずくの世界で出会った、あの子たちに似ていた。俺は、驚きに目を見開くと、もう一度、二人の姿を確認する……少し大人になったような気もするが、間違いない。あの子たちだ。
ふと、隣に座るおばさんたちの会話が耳についた。
「ほら。あそこの二人の話、聞いた?」
「あー。あの子の話? なんでも、もう治らないとか言われてたらしいんだけど、病院抜け出して流れ星に願ったら治ったとかなんとか」
「そうそう。不思議なこともあるものよね」
あの子たちがここにいる驚きと、女の子が助かったことに安堵感を覚える。今夜、秋姫にも報告しておこう。
しかし、会話に出てきた『流れ星』という言葉に引っかかりを覚えた。秋姫が記憶を消したのは確かだが、あの子たちの中で、『星の花』=『流れ星』ということになっているのだろうか?
俺たちの住むこの星では、流れ星に願いをかけると叶うと伝えられている。もし、この流れ星が、星の花を示すのだとしたら……その力は、フィグラーレの力。その影響を受けた、俺たちは、同じようにスピニアによって記憶を消されることになる。結局、願いが叶ったという事実だけが残るわけだ。
もしかしたら、俺たちは、大きな勘違いをしているのかもしれない。
――――――――――
会計が済むと、病院の外に出る。真上に差し掛かった太陽の光に目が眩む。空には、雲一つ無く、透き通るような蒼が広がっている。
病院の門をくぐると、昨日、ここで見た秋姫の笑顔が甦る。
ふと、自分の頬が緩んでいることに気付く。
(そうか。俺、笑えるんだ……)
俺は、軽い足取りで学校へと向かう。
空には、一本の虹が架かっていた。
〜第5.5話「キミにむけるほほえみ」〜
最終回 「キミにむけるほほえみ」
目蓋に降り注ぐ朝日の輝きに目を覚ます。カーテンの隙間から差し込む光と、星空に冷やされた大気の温度が眠りを妨げる。
隣を見ると、秋姫の寝顔が見える。疲れているのだろう。スヤスヤと安らかな寝息を立てている。
俺はというと……まだ、ぬいぐるみのままだ。今日が本当の満月ということだろうか?
振り向くと、如月先生の姿が見えた。
「石蕗君。早いですね。目が覚めてしまいましたか?」
如月先生が、小声で話しかけてくる。
「あ、はい。朝日が眩しくて……」
俺は、あくびをしたまま、寝ぼけ眼でそう答えた。
「如月先生……ボクとすももを運んでくれたんですか?」
「はい。そうですよ。高台の光が気になって行ってみたんですが……仲良さそうに寄り添って寝ていましたよ」
からかいモードに突入する如月先生の言葉を無視して、俺は質問を続けた。
「あの……ボクの体は……?」
「はい。眠っている間に、調べさせてもらいました。バッチリ回復したようです」
「そうですか」
ホッと溜め息を吐く。
「あの……如月先生。聞いてもいいですか?」
「はい。なんでしょう?」
「虹のしずくって、一体何なんですか? ボクたち、虹のしずくに包まれて、ここと同じような違う場所に連れて行かれたんです。そこにも、やっぱり星の種と虹のしずくがあって―」
俺は、そこであった全てを、如月先生に話した。
如月先生は、思い当たる節があるのか、何か考えているようだ。
「そうですね……虹のしずくは、願いを叶えようとするものに、試練を課すといわれています。今回の試練に当たるものが、その男の子と女の子を救うことだったのかもしれませんね」
と、如月先生は語る。
「あの……如月先生」
「はい。なんでしょう?」
「もしかして、知ってました?」
「はい。知ってましたよ?」
「それじゃあ、先に言ってくださいよ!」
「ははははは。いやー。まあ、なんとかなったんですから、いいじゃないですか」
そういって、俺の頭をぽふぽふと叩く。
糠に釘とわかっていても、怒ってしまうのは何故だろう?
「……ん」
少し騒ぎ過ぎたか、秋姫が目を覚ましてしまったようだ。
「ごめん。すもも。起こしちゃった?」
「っん……ユキ……ちゃん?」
「ああ。ごめんなさい。秋姫さん。ほら。ユキちゃんが騒ぐから……」
騒がせたのは、誰ですか。
「怒りを抑えるのも、大人の器量ですよ」
それは、時と場合によると思います。
「秋姫さん。調子は、どうですか?」
秋姫は、寝ぼけ眼で、
「ふぁい。ちょっと眠い……ふぁ……です」
秋姫は、かなり眠そうだ。
「そうですか。体の方は、疲れたり、だるかったりしませんか?」
「ふぁい。ちょっと眠い……ふぁ……です」
秋姫。答えが同じだよ……
「そうですか。それじゃあ、大丈夫ですね」
え!?
「如月先生! 本当に大丈夫なんですか!?」
「はい。秋姫さんは、健康そのものですよ?」
如月先生は、不思議そうな顔をする。今の秋姫の答えでもわかるようだ。
「秋姫さん。残念ですが、そろそろ帰らないと、学校に遅刻してしまいますよ」
「はひっ……秋姫すもも。お家に帰ります……むにゃ……」
そういうと、秋姫は、ドアに向かって歩いていき、
ゴン!
見事に頭をぶつけた。
「ユ゛ギぢゃん。い゛だい゛の……」
「……すもも。もう元の世界に戻ってきたから、壁抜けは出来ないよ……」
よしよしと、秋姫の頭を撫でながら、俺は秋姫の涙を拭いた。
しばらくして泣きやんだ秋姫は、ふらふらと家路に着いた。
「はぁ……すもも、ちゃんと家に帰れるかな?」
「まあ、大丈夫でしょう。電柱に3回くらいはぶつかるかもしれませんが……」
電柱に謝る秋姫の姿が容易に想像できた。
「ところで、如月先生。さっきの問診ですけど……実は、適当だったりしませんか?」
「そうともいいますね」
俺には、怒る気力もわいてこなかった。
――――――――――
その日は本当の満月だった。昨日、戻らなかった分、前倒しにはならないかと期待もしたのだが、そうはいかないらしい。俺はぬいぐるみのまま寮で過ごすことにした。
それにしても、昨日は疲れた。今日は、一日寝てしまおう。そう決めて目をつぶると、すぐに睡魔が襲ってきた―
目を開けると、夕日が射し込んでいた。熟睡していたのか、一度も起きることなく、丸一日眠ってしまったようだ。
眠りすぎで重い頭をかかえていると、
コンコン
ドアをノックする音が聞こえる。
「はい?」
(……って、返事しちゃダメじゃん!)
気付いたときには、遅かった。扉の外側から、聞き覚えのあるくぐもった声が聞こえる。
「あの……秋姫……です」
あ……秋姫?
「あ……えと……ごめん!……今、ちょっと出れなくて……その……」
「あ……いいの。そのままで……そのままでいいの。わたしの話、聞いてくれるかな?」
秋姫の不安げな……それでいてホッとしたような声が、ドア越しに伝わってくる。
「……うん。わかった」
俺は、顔を見せられない代わりに、しっかりと秋姫に返事をする。
秋姫は、大きく息を吸い込むと、ゆっくりと話し始めた。
「あのね。石蕗くん。わたしが階段から落ちた時、助けてくれてありがとう。それから、怪我をさせてしまって、ごめんなさい……」
「秋姫。俺、気にしてないから。ほら。結局、怪我もなんでもなかったしさ」
「でも……学校お休みしてたけど、本当に大丈夫?」
「ああ。うん。大丈夫。休んでたのは、別の理由で……怪我は、関係ないんだ」
「……うん」
少し曖昧な返事をしてしまったか、秋姫の返事に納得した様子はなかった。しかし、秋姫はそのまま話を続ける。
「それから……ね。もう一つ、謝らなくちゃいけないの」
ん? 階段のこと以外で? 秋姫、何かしたかな?
「ホントはね。昨日の内に……ううん。一昨日にでも、ここに来なくちゃいけなかったの。でも……わたし、怖くて……石蕗くんに嫌われたんじゃないかって……怖くて、ここに来ることが出来なかったの……でも……石蕗くん、そんなことで人を嫌いになるような人じゃないよね?……わたし、石蕗くんを信じることが出来なかったの……だから、ごめんなさい」
これ、昨日の夕方の……秋姫、まだ勘違いしてるのか……
「秋姫。やっぱり、謝る必要ないんじゃないかな? だって、ほら。秋姫は今、俺が『そんな人じゃない』って言ったよね?」
「……うん」
「それって、俺のことを信じてくれてるってことじゃないの? 秋姫は、俺を信じることが出来なかったんじゃない。ちょっと怖くて……それで、答えを見失っていただけさ」
「…石…蕗…くん……」
「秋姫。俺、明日から学校行くから。あっ……午前中は行けないと思うけど、午後から行くから。だから…明日は……えっと………一緒に部活に行こう!」
俺は、そのまま秋姫の言葉を待つ。
「……うん……石蕗くん。ありがとう」
秋姫が廊下を走る音が遠のいていく。
明日、秋姫に会ったら……俺は、秋姫に笑いかけることが出来るだろうか?
――――――――――
次の日の朝、俺は、二日ぶりに元の姿に戻ることが出来た。しかし、今日は、病院に寄ってから学校に行くことになっている。如月先生の話によると、
「体の方は、心配ありません。でも、お医者さんの診断書がないと、学校側に説明し辛くて……」
偽造出来なくもないんですが、手間がkkr…とかなんとかいっていた気もするが、気にしないことにする。
病院に着くと、如月先生が予約を入れておいてくれた所為か、すぐに診察が始まった。
その後もスムーズに進み、結局、2時間足らずで終わってしまった。
会計を済ませるため、待合室でボーっと時計を眺めていると、見たことのある顔が視界に飛び込んできた。気になって、そちらに目を向けると……虹のしずくの世界で出会った、あの子たちに似ていた。俺は、驚きに目を見開くと、もう一度、二人の姿を確認する……少し大人になったような気もするが、間違いない。あの子たちだ。
ふと、隣に座るおばさんたちの会話が耳についた。
「ほら。あそこの二人の話、聞いた?」
「あー。あの子の話? なんでも、もう治らないとか言われてたらしいんだけど、病院抜け出して流れ星に願ったら治ったとかなんとか」
「そうそう。不思議なこともあるものよね」
あの子たちがここにいる驚きと、女の子が助かったことに安堵感を覚える。今夜、秋姫にも報告しておこう。
しかし、会話に出てきた『流れ星』という言葉に引っかかりを覚えた。秋姫が記憶を消したのは確かだが、あの子たちの中で、『星の花』=『流れ星』ということになっているのだろうか?
俺たちの住むこの星では、流れ星に願いをかけると叶うと伝えられている。もし、この流れ星が、星の花を示すのだとしたら……その力は、フィグラーレの力。その影響を受けた、俺たちは、同じようにスピニアによって記憶を消されることになる。結局、願いが叶ったという事実だけが残るわけだ。
もしかしたら、俺たちは、大きな勘違いをしているのかもしれない。
――――――――――
会計が済むと、病院の外に出る。真上に差し掛かった太陽の光に目が眩む。空には、雲一つ無く、透き通るような蒼が広がっている。
病院の門をくぐると、昨日、ここで見た秋姫の笑顔が甦る。
ふと、自分の頬が緩んでいることに気付く。
(そうか。俺、笑えるんだ……)
俺は、軽い足取りで学校へと向かう。
空には、一本の虹が架かっていた。
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目次
ななついろ★ドロップス 短編
〜「さくらいろのほしぞらのしたで」〜
・「プロローグ」
・第01回「ずっといっしょ……」
・第02回「そのであいは、ゆうきのはじまり」
・第03回「なでしこのことば」
・第04回「わらいごえは、そらのかなた」
・第05回「ふたりのてのひら」
・第06回「ボクがきえるひ」
・第07回「にびいろのしずく」
・第08回「せいしろうとぼく」
・第09回「さくらいろのほしぞらのしたで」
・「エピローグ」
・あとがき
冗談企画
〜「オー!ユッキー」〜
・「オー!ユッキー その3」
・「オー!ユッキー その2」
・「オー!ユッキー その1」
ななついろ★ドロップス Short Story
〜「ユキちゃんの一日」〜
・「ユキちゃんの一日」
・「ユキちゃんの一日 その2」
・「ユキちゃんの一日 その3」
・「ユキちゃんの一日 その4」
・「ユキちゃんの一日 その5」
・「ユキちゃんの一日 その6」
ななついろ★ドロップス 短編
〜第5.5話「キミにむけるほほえみ」〜
・はじめに
・第01回「はじまり」
・第02回「たいへんたいへん」
・第03回「すもものムチャ」
・第04回「ふたりといっぴき」
・第05回「ほしのはな」
・第06回「すもものなみだ」
・第07回「りべんじ」
・第08回「ここはどこ?」
・第09回「ほしぞらのしたで……」
・第10回「さかないの?」
・第11回「みんなのねがい」
・最終回「キミにむけるほほえみ」
・あとがき
